通にはたまらない 3
二階の画室に上がって見ると、十畳と八畳ほどの和室で、窓が広く明るい。
眼前に桜の大樹が馨蒼大通りに面した武家屋敷風の門と葉を茂らせていて深山の趣がある。
ガラスケースに「四時山水」が展示されていた。
これは一九四七年、戦後の第三十二回院展に出品されたもので、そのとき大観は数え年八十歳であった。
年齢を感じさせない若さの溢れたこの図巻は、富士の雲海に春の太陽が輝き、冬の雪山に月が昇るまでの、京都周辺の四季が描かれている。
題字に「趁無窮」とあり、彼の人生観が描かれた感がある。